穏やかに優しく生きる秘訣は「自分の人間らしさ」に親しむこと
そろそろ還暦の私は、身体と心の衰えを感じる場面が増えてきました。以前のように無理がきかなくなりましたし、エネルギッシュに活動するのもしんどくなってきました。目元の(笑い)皺は深くなるばかりで、物忘れも増えました。もしかしたらこの時期をお読みのあなたも、(私ほどに老化を感じていないでしょうが(笑))変わっていく自分に戸惑いながら、不安やモヤモヤを抱えていらっしゃるのかも知れません。今回の記事では「思い通りにいかない自分」と上手につきあい、楽に、穏やかに毎日を過ごす考え方についてお話しようかと思います。
誰もが生身の人間だ
ちょっとした体調不良や加齢での不具合を感じると、「何でこんなことになるの?」「私って一体どうしちゃったの?」と、自分に対して強い不満や、時には怒りを感じることがあります。私も更年期障害の症状が強く出ていた時期には、かなりの心の葛藤がありました。でもそれは、「自分の身体は自分の思い通りに動いて当たり前」「自分の身体は維持できる」という思い込みがあるからですね。
ですが、「自分の身体は自分の思い通りに動くもの」ではないんですね。自分の身体は、全ての人の身体がそうであるように、「時間と共に老化し、時には病を背負い、最後は土に還るもの」なのです。多少なりとも老化を遅らせることはできますが、完全に止めることは誰にもできません。つまり、体調不良になることや、今までできていたことができなくなることの方が当たり前で、「身体がいつも自分の思い通りに動く」方が異常だとも言えます。ですので、
私たちは機械ではなく、生身の人間だ
ということを覚えておくと、体調不良や老化に対して敵意や嫌悪感を持たずに向き合うことができます。体調不良も老化現象も、誰もが経験する人生のプロセスです。それは、優しさと理解を持って対応すべきことであり、自分に失望し、自分を虐めるためのネタではありません。生身の人間である自分自身には、常に優しい眼差しを向けてください。
誰もが未完成・不完全な存在だ
うっかりミスや意図しない失敗を経験したことがない人はいないでしょう。こういった「意図しない失敗」も、加齢とともに増える傾向があります。私も以前より物忘れをするようになりましたし、「気をつけたはずなのに」想定外のミスをすることがあります。こんな「思い通りにいかない時」も、人間は機械ではなく、生身の人間であることを思い出していただきたいと思います。
体調が悪い時は集中力が下がりますし、物事がいつもより悲観的に見えたりもします。その時の状況、気持ちによって、1+1は必ずしも2ではなく、10と感じたり、マイナス100と感じたりします。それが機械にはない人間らしさであり、人間の面白さでもあります。
完全な精神性と完璧な頭脳をもって生まれてくる人はいません。完璧な人などこの世に一人もいないのです。誰もが未完成であり、不完全です。だから、人の言葉に傷つき、人を言葉で傷つけ、人を信頼して裏切られ、人を裏切る自分の弱さに泣くのです。私はそんな自分の「人間らしさ」と瞑想を通して親しんできたのですが、未完成な自分を心から愛おしく思います。
未完成でありながらも、一生懸命生きている、生身の人間である自分の「人間らしさ」と親しむことができた時、あなたは心の荷はとても軽くなります。片肘をはって、自分を完璧に見せる必要が無くなるのですから。
そして、人間の共通性として「人間らしさ」を他者の中にも見ることができるようになると、他者の不完全さに対しても今まで以上に寛容になることができます。人の欠点に目くじらを立てることなく、多少の不具合はさらりと流せるようになります。未完成で不完全な者同士で、どんぐりの背比べをすることが馬鹿らしく思えてきたりもします。
人間という生き物は、どこまで行っても未完成、そして日々刻刻と衰えていく身体を使って生きています。完璧になりようがないのです。そんな人間に、常に完璧を求め続ければ、生きるのが苦しくなるのは当たり前です。未完成なあなた自身、そして衰えていく身体と親しみ、生きることに対して寛容になっていきましょう。
楽に、穏やかに、優しく生きる秘訣は、自分自身の人間らしさと仲良くなることですよ。
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