「人と比べて恵まれているから有難い」を超えていく「真の感謝の源」とは

自分より恵まれていない人がいるから、感謝できるの?

「感謝日記」をつけておられる方、沢山いらっしゃると思います。このブログにお立ち寄りくださったあなたも、その一人かも知れません。また、感謝日記をつけていなくても、感謝することは自分の心を幸福感と充実感で満たしくれますから、日ごろから感謝をすることを心がけている方も多いでしょう。

そして感謝できることを捜す際には、「人と比べて自分は恵まれている」という視点を使うことも多いのではないでしょうか。

自分は健康だ
自分には仕事がある
自分には家族がいる
自分には住める家がある
自分の国は戦争をしていない

だから、ありがたい。

もちろん私もそんな風に「それを持っていない人と比較して」自分は恵まれているなと考えることはよくあります。ですが、

病を背負っている人
今失業している人
家族のいない人
住む場所のない人
戦争の中で逃げ惑う人

そういう人と比べて自分は幸せだ、有難い、そう感じることばかりが感謝の源になると、ちょっと寂しい気がします。

確かに幸せも感謝も、対比を使えば比較的簡単に感じることができます。陰があるから陽があり、日陰があるから日向がある。「ないもの」を見た時に「あるもの」が浮き上がってくるものですから。

それでも私は、何の比較をすることもなく、ただ今の私、今の状況に対して、純粋に「有難いなあ」「うれしいなあ」「うれしいなあ」と言える心を育てることがとても大切だと思っています。

そしてそれは、決して難しいことではありません。今回のブログでは、人と比較せずして感謝を感じるための世界の捉え方をご紹介したいと思います。

社会という大きな網がある奇蹟・人は繋がりの中で生きている

あなたは一粒のブドウを手に取った時、こんなことを考えたことはありますか?

  • このブドウがこんなに甘くなるまで
    どの位の品種改良があったんだろう
  • どんな学者さんが
    どの位の時間をかけて研究したんだろう
  • 何度失敗して
    何度くじけそうになったんだろう
  • そんな学者さんを支えた
    ご家族やお友達はいたんだろうか
  • この一粒が私の手に届くまで
    どの位の人の手を経てきたんだろう

一粒のブドウの中にも、数えきれない人の手や時間、苦労が詰まっているのがわかりますね。

ちなみに私が本業で従事しているのは化学品業界ですが、ひとつの接着剤を開発するにも、ものすごい労力と時間と苦労がかかっています。私たちががス―パ-で何気なく手に取るハムのパッケージは、それぞれが必要な機能を持ったいくつものプラスチックの層でできています。バリア性のある層、層と層をつなげる接着層、表面の印刷を鮮やかに見せるための加工がされた層など、ミリ以下の薄さの中にも、沢山の人の苦労と努力が詰まっているんですね。

どんな商品も、それが自然の産物であれ、工業製品であれ、当たり前に手に入るものなど、ひとつもないのです。

そんなことを、ひとつのブドウの粒やハムのパッケージに重ね合わせて考えると、この手の中にある物品に深い感謝がわいてきます。私たちが社会の網の中にいること、そんな社会の網があることそのものが、深く感謝すべき奇跡だと思います。

大きな循環の中で生きている奇蹟・巡り巡るエネルギーを感じよう

そしてあなたの手の中にあるそのブドウを口に含むと、甘い水分が口の中に広がりますね。その水分、どこから来たか考えたことはありますか?工場で水分を
ブドウに注射しているわけではありませんよね。

色々な気象条件がそろって雨や雪が降り、その水分が土壌に沁みて、ブドウの苗がそれを吸い上げながら花を咲かせ、実になればそこに水が溜まっていく。私たちが口にする水分は、大きな循環のエネルギーのおかげで、今ここにあります。あなたが「ああ今日は雨かあ」「また雪か、嫌だなあ」と思っているその雨・雪が、長い時間をかけて巡り、ブドウの一粒の中に入っているのですね。

私たちの日常生活に使う水、お風呂や洗濯などに使われる水も、いずれ空に返り、雨や雪になってまた地上に戻ってきますが、ブドウの苗はあなたが日常で触れた水を吸い込んでいるかも知れないのです。この循環のエネルギーのダイナミズムを感じると、私は感謝を超えた畏怖のような気持ちを感じます

自分がかけた優しい言葉で誰かの心が柔らかくなり、その誰かがまた他の人に優しさを伝えたりすること、そんなこともエネルギーの循環ですね。自分が他者、自然と繋がりながら、巡り巡るエネルギーの流れの中にいることも、感謝に値する奇蹟だと思います。

絶妙なバランス中で生かされている奇蹟・完璧な自然の摂理に気づこう

私は小さい時から昆虫を眺めたり、天体観測をするのが好きでした。昆虫の住むミクロの世界も魅力的、果てしない宇宙のマクロな広がりも面白い。子供ながらに自然の不思議に強く惹かれていたんです。そして虫や宇宙のことを知れば知るほど、その摂理の素晴らしさと面白さに感動を覚えたものでした。

都会に生活していると、しかもとても忙しい毎日を過ごしていると、宇宙の大きさやその摂理に気づくことはなかなかできないものです。ですが、時には空を見上げて、大きな自然のリズムや、そこにある摂理、ルールに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

潮の満ち引きは月の引力によっておきますが、もしも地球と月の位置が少しでもズレていたら、多くの都市が満潮で水没します。女性の生理のサイクルも変わっていたかも知れません。また、地球の地軸は23.4度傾いていますけれど、この傾きがあるからこそ、北半球にも南半球にも四季が訪れます(夏と冬が北半球と南半球で逆転するのも面白いですよね)。この地軸の傾きがほんの少しでも変わることがあれば、地球上の気候は大きく変わり、植物や動物の種類や分布も、今とは全く違うものになるでしょう。地球の銀河系での位置がこの場所だから、天の川が見え、古代の人々は夜空に星座を作り出すことができました。地球に引力があるから、地球には大気があり、私たちも地に足をつけて歩けるのです。

潮干狩りが楽しめること、紅葉や新緑を美しいと感じられること、夜空に星が輝いていること、そして、そもそも今の生活ができていることは、自然の絶妙なバランスがあるからこそ、なんですよね。私にとってはこれは奇跡以外の何物でもないのですが、皆さんはどう感じられるでしょうか。

自分より恵まれていない人と比較などしなくても、「有難い」と感じることはできるものです。今日あなたが乗る電車、あなたが口にするコーヒ-、あなたの手に触れる水を、今日ご紹介したような視点で眺め、感じてみて下さい。きっとあなたの感謝日記の中に、沢山の「有難い」が並ぶと思いますよ。