より良い人間関係に必要なこと・「自分の感情と親しむ」

人に向けている意識を自分に向けよう

家族との関係、職場での人間関係、少しでも円滑にしたいですよね。それなのに相手を怒らせてしまったり、悲しませてしまったり、喧嘩になったり。思春期の子供たちとはすれ違いばかり。誰にでも経験あることだと思います。どんなに気をつけていても、人を傷つけてしまうこと、悲しませてしまうことはあります。ですが、人の悲しみに共感し、人の喜びを喜べる心を持っていると、人と衝突することが減っていきます。今回は、自分の感情をよく知ることを通して対人関係を好転させるヒントについて書いてみます。今日の記事も私の経験を元にしています。

よく「相手の気持ちになる」とか「相手の立場に立つ」という言葉を聞きますよね。人の苦しみを理解し、心から寄り添う。人の喜びを自分のもののように喜ぶ。これは対人関係を円滑にする基本です。これができるようになるためには、相手に興味を示し、共感できるようにならねばなりません。そのためには、まず、自分に興味を持ち、自分に共感できるようになることです。自分に対してやさしい好奇心を持ち、自分の喜び・苦しみに共感できる人は、自然に他者にも同じように接することができるからです。

自分の喜び・幸せをしっかりと噛みしめてみよう

自分の喜びに心から共感するには、喜びをしっかりと噛みしめ、自らが「喜ぶ」ということを体感することが大切です。

この前あなたが幸せを感じた時はどんな時でしたか?その時、誰がいて、どんな状況で、何が起こりましたか?どんな感情が沸き上がってきましたか?その時の身体感覚はどうだったでしょうか?どんな言葉がでてきましたか?その時のあなたを生き生きと思い出すことはできるでしょうか?

私たちは幸せを感じても、あっという間に素通りさせてしまいます。嬉しいこと・幸せなことが起こっても、「うれしいな」「良かったな」程度でさっとスルーさせることが多いですし、「仕事の合間に丁寧に淹れるコーヒー」のような「小さな幸せ」に関しては、そもそも見逃していることも多いのではないでしょうか。ちょっと残念ですよね。

自分がしてもらって嬉しかったこと、幸せを感じたこと、安心できたこと…体験した時に五感を使ってしっかりと感じる習慣をつけていると、喜び、幸福感、安心感の素晴らしさ、有難みが身をもってわかってきます。自分にとっての幸福感や安心感を体感すれば、「あの人」の幸福感・安心感にも心を寄せることができるようになります。

嬉しいことがあった時、「わあ、嬉しいなあ~!」「最高だなあ~!」と声に出して言ってみる。嬉しさに胸の鼓動が速くなっているのを感じる。心がふわ~っと広がって、世界も広がって見えたような感じがする…。こんな風に自分の幸せをしっかり噛みしめる時、「あの人もきっと、こんな幸せを味わいたいのだろうな」「あの人も幸せな時は、こんな風に感じているんだろうな」と思えるのです。人の心の喜び・幸せを想像できるようになり、人を幸せにしたいと思い、人の幸せを自分ごとのように喜ぶためにも、まず自分が自分の喜び・幸せを味わってみましょう

悲しみ・怒りからも背を向けない

人の苦しみ・悲しみに寄り添うには、自分の苦しみ・悲しみに触れることも大切です。自分の心の痛みを知っているからこそ、人の心の痛みを理解することができます。「心が痛む」ということはどういうことなのか自分なりにわかっている人は、たとえ同じ苦しみではなくても、泣いている人に優しい共感の手を差し伸べることができます。

私たちが怒り・悲しみを感じる時、その怒りや悲しみの原因となった相手に意識が向かいがちです。「あの人のあの一言に傷ついたんだ、許せない!」「私を馬鹿にしているとしか思えない!」「私を大切にする気持ちなんてないんだね…」のように、自分の感情の責任を相手に求めたくなる気持ちが出てきますよね。ここで相手に向いた意識を自分に向けなおし、自分の感情に触れてみましょう。今自分に湧き上がっている怒り。じんわりと心を沈ませる悲しみ。自分は何に傷つき、何に涙しているのでしょう。自分にとって「心が痛む」とはどういう感じなのか、穏やかに観察してみましょう。

どんな感情も優しく見守っていれば、必ず消えていきます。ネガティブ感情は心の雨の日のようなもので、待っていれば晴れ間が見えてきます。心の痛みを穏やかに観察しながら、心の雨の日にあなた自身に優しく寄り添ってみます。心の痛みを受け入れながら、自分に向けて「悲しいよね、だけど必ずお天気になるから大丈夫だよ」「今はつらいよね、その気持ちよくわかるよ」と優しく言葉をかけていくと、他の人にも同じような言葉が言えるようになるのです。心の雨の日に自分に優しく寄り添うことができると、同じように心の雨の日を過ごしている人に優しく寄り添うことができるようになります。

 

マインドフルネスを使って自分の感情に触れることを知らなかったころの私は、人に対してとても冷淡なところがありました。人の痛みに共感し、その苦労を想い、労いたいと心から思えるようになり、人の笑顔に癒され、人の幸せを自分ごとのように喜べるようになったのは、今日の記事でご紹介したように、自分の感情に優しく触れ続けてきたからだと思っています。

対人関係好転の秘訣は、共感度を上げること。そして共感度を上げるには、まずは自分の感情と親しんでみてくださいね。