プロフィール
東京生まれ、東京育ち。
東京外国語大学卒業後、1990年からドイツ在住。
在ドイツ日系商社勤務25年、18歳の娘、ポーランド出身の伴侶と3人暮らし。
資格:
- MBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)講師
- MSC(マインドフル・セルフコンパッション)Teacher in Training
- アドラー心理学ELM勇気づけリーダー
学びの履歴:
- MBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)8週間コース(ドイツ)
- マインドフルネス集中1年コース(ドイツ)
- MBSR講師養成コース(ドイツ)
- Interpersonal Mindfulness(IPM)8週間コース(オランダ)
- MSC(マインドフル・セルフコンパッション)8週間コース(ドイツ)
- MSC講師養成集中プログラム(ドイツ)
- MSC講師養成10週間トレーニング(ドイツ)
- Trauma Sensitive Mindfulness 13か月コース(日本・オンライン)
- アドラー心理学ELM講座(日本)
- アドラー心理学ELMリーダー養成コース(日本)
講演:
2022年久留米大学公開講座「マインドフルネス入門」担当
ジュバ 智子 / Tomoko Dziuba
人生の挫折から…
順調に在ドイツ日系商社でキャリアを積んでいた私が、大きくつまずいたのが子育てでした。
マニュアルもない、相談できる上司もいない、だからといって、投げ出すことも、代理を頼むこともできない。
仕事の世界とは全く違う、初めての育児の世界で、不安で戸惑うばかりの毎日。不安を消すために試行錯誤するうちに、「なんでも完璧にすること・させること」が人生と育児の目標になっていました。自分へのダメ出し、娘へのダメ出し、「もっとちゃんと」「もっと育児しっかり」の押し付けで、娘がプレ思春期に差し掛かった頃、私のストレスレベルは限界に。娘のメンタルも壊れかかり、自分の子育てと自分の在り方を大きく見直す必要に迫られました。
そんな、挫折の中、人生のどん底で出会ったのが、マインドフルネスとアドラー心理学です。
マインドフルネスとの出逢い
マインドフルネスとの出逢いは、娘の療法心理士の先生に「まずはお母さんがストレスを減らして、落ち着いてください」と言われたことがきっかけでした。マインドフルネスがストレス低減に効果があることは小耳にはさんだことがあり、瞑想アプリ等を使い自己流でやってみたものの、これといった効果は無く、MBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)の資格を持った先生についてじっくりと学びました。8週間のコースを経て、自分の心の癖や思い込みを発見し、感情の起伏を客観的に、穏やかに見つめることができるようになりました。小さなイライラから突き上げるような強い怒り、心を真っ暗にする不安や恐れなど、色々な感情と積極的に接し、受け入れ、流すことが出来るようになったのも、マインドフルネスのおかげです。
マインドフルネスの実践で五感が磨かれ、食べること、飲むこと、歩くこと、見えること…日常の当たり前のことが実はとても面白く、豊かさでいっぱいだということにも気づきました。
イライラに飲み込まれ、感情に任せて子供を叱る。不安で何も手がつかなくなり、心が常に揺れていて、ちょっとしたことで不満や怒りが噴出する。…これらは全部、過去の話になりました。
自分の感情と仲良くなることは、自分と仲良くなることです。
私は、今の自分に、それがどんな自分であっても、「大好き」と言えるようになっています。
アドラー心理学との出逢い
マインドフルネスより少し前に出逢ったのがアドラー心理学。ちょうど「嫌われる勇気」(岸見一郎著)が大ベストセラーになった後、「アドラー心理学」の名前が世に知れ渡った頃です。岸見一郎氏の著作を何冊も読む中で、アドラー心理学の目標とする育児は、子供が自立し、社会と調和して暮らせるように導くこと、また子供が「自分には人生の課題を乗り越える能力があり、人々は自分の仲間である」と信じられるような心を育むことだと知りました。
私のやっていた育児は、まるでその逆。子供にダメ出しをしては自信を無くさせ、常に「足りていない」ことを強調し、世界を「自分を批判してくる冷たい場所」にしていました。自分自身に対しても同じ。自分にダメ出しをし、失敗を許さず、周りには決して頼らない、そんな生き方が、どれほど自分を壊し、他者にも痛みを与えてきたか、アドラー心理学に出逢って初めて気がつきました。
アドラー心理学は自分を信じ、他者を信じ、人生の舵を自分の手で握る勇気を育む心理学です。過去のことはどうあれ、今ここから、何度でも新しい一歩を踏み出していけばいい、と、私の背中を押してくれた心理学です。
私は、マインドフルネスで心を整え、アドラー心理学を杖にしながら人生を歩いています。
私の想い・なぜマインドフルネスとアドラー心理学なのか
マインドフルネスは誰にでも実践でき、そのストレス低減への効果は科学的に立証されています。自分の心の癖を知り、感情と親しむことで、ストレス低減だけではなく、自分との関係、ひいては他者とも暖かい受容を基本にした関わり方ができるようになります。
アドラー心理学には、子育てだけではなく、自分の人生に責任を取る自信をつけ、職場や家庭で建設的な人間関係を築くことにも大変効果のある考え方、スキルが詰まっています。
それぞれ個別の素晴らしさがあるのですが、なぜ私が、そのどちらも必要としているのか。
マインドフルネスが、アドラー心理学の素晴らしさを最大限に引き出すからです。
アドラー心理学のスキルや考え方を実践する際、「自分の今ここの心がどういう状態か」がわかっていて、「本当に現状をありのままに観ている」と、効果が出やすいのです。
例えば、あなたは今、テストの点が悪くて落ち込んでいる子供に対して、勇気づける言葉をかけたいとしましょう。その時、あなたには目の前の子供をありのままに見ているでしょうか?その子に対しての期待や理想を通して見ていませんか?あなたの心に怒りがくすぶっていませんか?あるいは子供を自分の思い通りにしようとして、「上手く誘導できる」言葉を探していませんか?その言葉、態度、本当に今のあなたと、あなたの子供のためになりますか?
あなたが今ここの状況(心の中と目の前の現実)を正しく把握することができれば、本当の意味での建設的な言葉・行動を選ぶことが出来るのです。
そして、この「自分の内外で起こっていることを把握する能力」を培うのが、マインドフルネスなのです。
育児、家庭内の問題、職場での人間関係、すべてに効く、マインドフルネスとアドラー心理学。
少しでもたくさんの方に、その素晴らしさと奥の深さを知っていただきたいと思います。
母親であり、25年以上の商社勤務経験(営業マネージャー職、業務管理職)のあるサラリーマンとして、育児、国際結婚、キャリア上で経験してきたこと、学んできたことを最大限に生かし、皆様が心の自由を体験し、人生の舵をしっかりと握れるよう、サポートをしていきたいと願っています。