思い通りにいかない時の考え方

思い通りにいかないのが人生

ああしたい、こうなって欲しい…希望や理想があっても、それが思い通りにいかないこと、実現できないことは誰にでもありますね。長く生きていれば生きているほど、理想と現実のギャップに苦しむことも増えると思います。思い通りにいかないのが人生です。私は、すべてが思い通りにならないからこそ、人はそこで生まれる葛藤や挫折を通して成長できるものだと思っています。

思い通りのいかないのが人生ではありますが、思い通りにいかないことに出会う度に、悲しみや落ち込みにはまり込んだり、自己憐憫、怒りや自暴自棄に陥っていたのでは困難を乗り越える力(アドラー心理学でいう勇気)は貯まりません。

今回の記事では、マインドフルネスで培える明晰な理性(智慧)と優しい心(慈悲)を使って「思い通りにならないこと」とどのように向き合うことができるのか、私の経験を踏まえてお伝えしようと思います。

明晰な理性を使って現実を直視する

まずは自分が感じている困惑、イライラ、悲しみなどの感情は、自分の理想・信念と現実のギャップがあるから出てきていることを理解します。それを理解したうえで、このギャップの内訳をしっかりと理性的に眺めると、問題解決の方法が見えてきます。この時、困惑・イライラ・悲しみといった感情は落ち着けて(この点は後で説明します)、事実関係に注目します。理想と現実のギャップを埋めるには、2つの方法がありますので、それぞれどこまで対応できるか考えてみます。

現実(自分の外側)を変える努力をする

現実(自分の外側)を変えることができるか考えます。例えば、転職する、新たな資格を取得する、付き合う人を変える等、自分から働きかけることで現実を変えることができそうなら、それをコツコツとやってみます。話し方ややり方を変えるのもいいですね。私の場合は、とても繊細で心が不安定になりがちな娘に対して、話し方や付き合い方をアドラー心理学に基づいたものに変えることで、彼女のと関係を大きく改善することができました。

ここで大切なのは、変えられることと変えられないことを見極めることです。人の性格や会社の社風、引っ越したくても家族の事情で引っ越せない等、など、自分が変えようと思ってもとても難しいものがありますよね。今の自分の力でどこまで変えられるのかをその都度考え、見極め、無理な努力や強制をしないようにしましょう。無理な努力や強制は心にとって大きな負担になりますので、負担を感じたら「これは変えられないことなのかな」と気づくヒントにもなります。

理想(自分の内側)を変える

上に書きましたように、「今の私には変えられないこと」は必ずあります。個々の事情で変えられないものもあれば、更年期障害、持って生まれた身体能力、加齢など、抗うことができないものもありますね。

変えられないことには、自分の理想を変えることで対応してみましょう。理想を丸ごと手放して違う理想を持つ、あるいは理想のハードルを下げることができると、心はとても楽になりますし、理想にしがみついていた時には想像もできなかった解決法や世界観が見えてくることもあります。

私は娘に良い成績、良い学歴を取って欲しかったのですが、理想の方向を大きく変えて、理想を「娘の幸せ」にしました。「娘の幸せの形は私が理想としてきた幸せの形と違って良いのだ」と思えた時、成績の如何に関わらず、娘に対する優しい心を持つことができるようになりました。今でも成績不振時には心配になることはありますが、新しく作った理想・「娘の幸せ」を思い出すことで心のバランスが戻ってきます。

私の更年期障害も、理想を手放すことでとても楽に付き合えるようになりました。「女性なら誰にでも起こること、いつかは終わることだ」と割り切り、諸症状は「女性性の役割が変わる時期に、私の身体が懸命にバランスを取ろうと努力している成果なのだ」と捉えなおすと、自分をさらに愛おしく思えるのです。

嫌いな人にはせめて憎しみを持たず、フラットに付き合うだけで良しとする。毎日掃除ができなくても、おかずに買ってきたお惣菜を使ってもOKにする。そんな小さな「ハードル下げ」をするだけでも、心に余裕が生まれ、活力が戻ってくるものです。

頑張っている自分を優しくねぎらう

理性だけを使って問題に対処するだけでは、勇気は溜まりません。対処するといっても、そこには必ず色々な感情がついてきます。悲しみ、不安、怒り、困惑…どんな感情が出てきても、それを押し殺したり無視したりせず、頑張っている自分、理想と現実のギャップに苦しみながらも日々ひたむきに生きている自分に優しい言葉をかけてあげましょう

理想を手放す時、理想のハードルを下げる時に悲しみを感じるのなら、その悲しみを理解してあげてください。イライラも落ち込みも、頑張っている印です。現実を変えようとして努力しても、行き詰りや失敗を体験するかも知れません。それも「努力している証」として認めていきましょう。

すぐに結果を出す必要もありません。現代社会は「ボタンを押せば確実に結果がでる」ような即効性をとても重視しますが、生きるということは、「ボタンを押してすぐに結果を出す」ことではありません。試行錯誤しながら、進み、戻り、また進みながら、ゆっくりと自分を成長さえていく旅のようなものです。失敗も成功も、自分を耕してくれる貴重な経験です。

現実と理想のギャップに大いに悩み、悩む度に建設的な一歩を踏み出す努力を続けていきましょう!