マインドフルネスの力で、口論をストップ!
口論は防げる
子供やパートナーの言動にイライラして、ついつい後から後悔するような言葉を言ってしまい、それがきっかけで感情的な口論になる。口論で自分が勝てば、その場は気持ちがいいでしょうが、後味がいいものではありませんよね。そして、口論で負けた方は、悲しみや怒り(もしかしたら憎しみ)など、とても苦しい感情で胸がいっぱいのはず。議論が理性を使った話し合いであるのに対して、口論は感情のぶつけ合いです。感情をぶつけ合った結果、傷つける方も、傷つけられる方も、どちらも幸せにはなれませんし、何度も起これば、人間関係に亀裂が入りかねません。でも、マインドフルネスを使えば、口論は防ぐことができるのです。
照準を当てるのは自分
口論になりそうな時、つまり相手の言葉が心に刺さり、「言い返してやろう」という衝動が起きるとき、私たちの意識はどこに向いているでしょうか?普通は「相手」ですよね。今から相手に反撃しようとしているわけですから、照準は相手に向いています。でも、マインドフルネスのアプローチは違います。自分の心の中に違和感(悲しみ、怒りなどのネガティブ感情)が出てきたら、まずは自分に照準を当てるのです。違和感を感じたら、「あれ?今、自分の中に何が起きているんだ?」と好奇心をもって、自己観察のスイッチを入れます。口論の場合は、相手を言い負かしたい攻撃欲、強い怒りなどが自己観察を始めるサインになります。
自分を実況中継してみよう
自分に照準が当たったら、自分の中で何が起こっているのかを観察していきます。心の違和感は1.思考 2.感情 3.身体感覚 4.行動 に現れてきますので、一番観察しやすいものを選び、今の状況を客観的に「実況中継」していきます。私の場合は感情をそのままつかむのが楽ですので、こんな感じで自分が今、どんな状態にいるのか見ていきます。
今、とても強い怒りがでてきた
言い返してやりたい、攻撃したい衝動を感じる
顔が熱い
呼吸がいつもより荒くて速い
などなど、起こっていることを事実として認識していきます。この時に注意するのは、好奇心をもって、ただ穏やかに観察すること。今感じていることが良いとか悪いとか、判断は入れません。
今の自分に共感する
今、自分の中で何が起こっているのか理解出来たら、感情に意識を向け、共感をもって受け止めます。
腹が立っているんだね
悲しいよね
わかってほしいよね
本当は仲良くしたいのにね
…といった言葉を自分にかけていきますが、ここでは相手にぶつける言葉を探すのではなく、今ここで怒りや悲しみを感じている自分が一番安心し、穏やかになれる言葉を探します。相手にわかってもらえない悲しみを、あなたの大好きな人が受け止めてくれるとしたら、あなたに何と言ってくれるでしょう?目的は、相手を打ち負かすことではなく、自分の心に良い栄養を与えて、相手との対話を穏やかに進める基盤を作ることです。この時、目を閉じたり、ゆっくり呼吸をしたり、胸に手を当てるのも効果的です。急いで何かを言う必要も、相手を待たせることを恐れる必要もありませんので、時間をかけましょう。
次の行動を選ぶ
ここまで来れたら、相手を傷つけるような強い感情は消えているか、少なくとも弱くなってきているはず。激昂して怒鳴る、といった最大の危機はまず回避できていると思います。理性を使った対応ができるベースができましたので、相手の表情や今二人が置かれている状況を落ち着いてみてみます。落ち着いて考えてみると、さっきの自分の怒りは「相手が自分の思い通りに動かない」「相手が自分の期待を裏切った」といった、「自分ありき」の考え方が原因だったことに気づいたりします。今ここで議論を続けるのがいいのか、場所と時間を変えて話すのがいいのか、むしろ話さない方がいいのか、ここで選べる行動は無限にありますが、できる限り自分と相手にとって建設的な結果になる行動を選びます。
感情が強い場合や、特に苦手な相手とのやり取りでは、このような対応は簡単ではありません。まずはちょっとしたイライラや、基本的に理解できている良い関係の人との小さな意見の違いなど、易しい場面で練習してみてください。
そして、うまくいかなくても大丈夫です!私もたくさん失敗します。失敗しても、自分の感情に気づく余裕があったとか、きついことは言ったけど怒鳴らなかったとか、ほんの小さな成功を見つけてOKを出しましょう。まずはやってみること。成長はそこから始まります。